2017年9月26日火曜日

監督降板と希望の党


けものフレンズというアニメが、続編を期待される中、その監督が版元(角川)からの通達によるものだと明言したうえで2期監督から降板になった事を公表しました。完全に死んだ作品だと思われていたのを、ほぼ一人で再興し、一つの大きな流行にまで持ち上げた功労者であるにもかかわらず、だそうです。

かなりの炎上騒動になっているようです。版元の行儀の悪さについては今更言うまでもない社風の会社だし、その批判は当然なのでココでは今回触れません。

ただ、この様子を見ていて、僕としては違和感を禁じえません。一体この騒動の何に違和感があるのか。いくらか考えて仮説を得られたので少し書いていきたいと思います。




結論としては…

騒いでる方々、作品そのもの自体には価値を見出していないのでは? あるいは、ある種のフロックなブームに便乗しているに過ぎない事を半ば無意識下で自覚してやいませんか?

署名運動などがあるように、どうにも「けものフレンズ」と「監督」とを過剰に結びつけているように思います。監督を作品に縛り付けよとしている、と表現したほうが適切でしょうか。勿論監督のその功績は多大なものなのは間違いないでしょう。彼なしではありえなかった、そんな才能の持ち主なのでしょう。

であるならば、その有能さの実績を持つ作家として増した権限や発言力により、次作は間違いなく予算やスケジュール等の制限を緩やかに、より自由に作品が作れるはず。なのに騒いでるファン達にどうして「次作を楽しみにする」という人がこうも少ないのか。勿論そうではない方もいるんでしょうが、少なくとも騒いでる人たち多数には見られない。

本当にその監督の作品が好きならば、今回の一件は、一方で残念であったとしても、もう一方で次の作品を楽しみにするものでしょう。ファンであるならば。それがどうにも、こんな騒動になりつつあるのは、彼ら自身、けものフレンズという作品そのもの自身に対して根本的な興味を持っているわけではないのではないか。

これは彼らにとって「けものフレンズブーム」それ自身がある種のポジティブな「炎上」であり、その作家の作品そのものに本質的な興味があるわけではなく、「"独特な間合いの空気と意外に身が詰まった王道なシナリオのギャップを楽しむ作品"という一連のムーブメント」それ自体が目的化してはいないか。そしてその「ムーブメント」に放り込まれた次のイベントとして、「監督の更迭劇」という第二幕を騒いでるのではないのか。

更に、もしかしたら監督の次作に対しては今回ほどそのブームを楽しめないのではないか、という「自分達のこのムーブメントが実は空虚なものであると実感させられる事に対する恐怖」から、この一連の騒動が起きているのではないか。




この現象、小池百合子の一連の騒動にその類形を見ることが出来ると思います。

1.舛添バッシングにより自分達の選んだ知事を引きずり下ろして
2.小池百合子を選挙によって担ぎ上げ
3.小池はその暗愚さを露呈しているにもかかわらず
4.未だに高支持率を維持している

つまり、舛添を下ろしたらもっと酷いのが出てきた状況で、自分達の選択が誤りであったことを認めたくがないが為に未だに小池が高支持を維持しているように、けものフレンズブームが空虚なものであったと認めたくないというマクロな群集心理による騒動ではないのか。

そんな解釈ができる気がします。



ちなみに僕自身のこの作品の感想を一言で述べるなら、深夜ではなく夕方頃にNHKなんかで放送されるべき良い作品だな、と思います。




※念のため付け加えますが、作家潰しで有名な某少年誌編集部のように、この件によって監督の能力と才能がつぶされる事があってはいけないと思うし、そうなりそうな降板そのものにはかなり批判的に思ってます。ただ同時に、角川には角川の商売上の都合もあるだろうな、とは思います。まぁこのあたりは部外者にはうかがい知れない事ですけども。

2017年9月6日水曜日

Illidan Stormrage



今回はちょっと自己満足投稿





World of WarcraftというMMOの最新のトレイラームービーがあまりに素晴らしかったので、それを下手くそな和訳と、僕が知りうる限りの解説を少々。WoW以前のWarcraftシリーズはプレイしていないし、WoW自体ももう10年近くプレイしていなくて知らない事のほうが多いですがご容赦を。





Turalyon(銀髪Paladin):
「Xe'ra、あなたが再臨されて我々は祝福されました」

Xe'ra(板):
「Turalyon…『選ばれし者』を見つけましたね
Illidan、生まれた時から瞳の光に、約束された未来を持つ者よ」

Illidan(デビルマン):
「そんな生得権(birthright)は随分昔に犠牲にした」

Xe'ra:
「再び一つに戻るために、失ったものを取り戻したくないのか?」

Illidan:
「Legionの終焉のみが、俺の求める全てだ」

Xe'ra:
「我が子よ、そんな些細な事に、汝は十分寄与した。
汝の本当の可能性、取り戻すべき物は眼前にある。
粉々になった形を捨て、光の力を受け入れよ」

Illidan:
「俺は昔、自らの自由と引き換えに力を得たんだ」

Xe'ra:
「予言は果たされなければならない。
(Illidanを束縛)
汝の古い人生は過ぎ去った。
光は汝を新しく作り変える」

Illidan:
「それはお前にくれてやるものではない!」

Xe'ra:
「光は汝の傷を癒やすだろう」

Illidan:
「俺の傷は俺自身だ!」

Xe'ra:
「光が汝の運命だ」

Illidan:
「俺の運命は俺のものだ!」
(目からビーム、Xe'raは粉々)

Turaylon:
「貴様はみんなを絶望に叩き落とした! 裏切り者!」

Illidan:
「お前の信仰心が目を曇らせている
『選ばれし者』などいない
我々のみが…我々自身を救うことが出来る」







Illidan…いいですね…。セリフの全てが魅力的。俺の傷が俺自身だ、なんて凄い。彼は成功者でもなんでもなく、むしろ辛酸ばかり舐めさせられてきた辛い人生であるのに。

僕もあまりWarcraftシリーズのストーリーをしっかり把握してるほうではないので不正確ですが僕が理解している限りでざっと概略を。IllidanはNight Elfとして生まれ、彼らは「Well of Eternity」という魔力が無尽蔵に溢れ出る泉を持ち、その加護のもとで不老不死であり、自由に魔法を行使していたそうです。

その泉を異世界のBurning LegionというScougeの軍団に目をつけられ、Night Elf達は侵略をうけます。Illidanの双子の兄、MalfurionはWell of Eternityを破壊して魔法を捨てることでそのLegion達から狙われなくしようと提案し、Night Elf達は受け入れ、Scougeもろとも泉を破壊します。Illidanはそれに反対し泉の一部をこっそり持ち出し、Night Elf達の避難先のMount Hyjalで使用し、第二のWell of Eternityを再建しました。しかしそれを咎められ、Illidanは監獄に1万年幽閉されてしまいます。

その後も色々あって、Mount Hyjalが再びScouge達に攻め入られた際、Illidanが片思いをしていたTyrandeは幽閉されたIllidanを開放し、Scougeから助けてくれと請います。Illidanはそんな自分を幽閉した上に恋敵であるMalfurion達Night Elfを助けたり、更にはDemonを倒すためにDemonの力を手にれて悪魔の姿に身を落としたり……。等々しながらめっちゃ頑張ります。でも誰からも評価されずにThe Betrayer(裏切り者)と呼ばれるという。

彼のその生まれながら持つ金色の瞳の光も、力を得る対価としてBurning Legionの親玉Sargerasに焼かれてしまったそうです。


上の動画は、そこからもっと後の今現在「攻め込まれてばかりではダメだ、Burning Legionに攻め込んで倒そう」とAzerothの人々が立ち上がり、Illidanを含め、色んな人達の力を合わせて軍備を進めている一コマのようです。そんな彼が「俺の傷が俺自身だ」とか「俺の運命は俺のものだ」とか…。グッときます。

実際のところ、彼のクラスは彼自身が始祖のDemon Hunterであるし、対Demon特化の能力を持つWarglaive of Azzinothという武器を装備していたりと、その意思は間違いなく本物のようです。

ついでに言えばゲーム内で彼を倒すと、Memento of Tyrandeなんて、小さな花のTrinketをドロップします。Tyrandeとの思い出、というアクセサリー。センチメンタルだなぁ。




……さらについでに、Well of Eternityの魔力を捨てれば狙われなくなるから魔法なんて捨ててしまおう、ってどっかで似た話をよく聞きますよね。曰く、「防衛力、自衛力を持つから戦争を呼びこむんだ。だから自衛隊なんていらない」とかなんとか。

そういう意味でも僕はIllidanが大好きです。