2018年10月16日火曜日

本当の「首相案件」

森友学園の問題は、財務省が公開した文章ですべて結論が出たと僕は判断します。

安倍総理に言いたいことは山程ありますが、ソレはソレ、コレはコレ。あの文章を少しでも理解できれば、あの籠池夫妻の肩を持つなんてあり得ないと判断します。別に精読しなくとも斜め読みでもしてみれば、ほんの僅かな小指の先ほどしかないコネクションであろうとも最大限利用し、役所を動かすための梃入れの道具として利用して自分達の要望をねじ込み、更にモンスタークレーマーとして横暴に振る舞った人間の有り様が克明に残されています。

未だにこの問題を引っ張ろうとする政治家やメディア達は、真実や法よりも、明らかに政治的な綱引きや、何かしら別の意図のためだけですね。まぁ、戦略的に時にはそれが必要になりうる事もあるのは事実なので、全否定はしませんが。とはいえその手の人間嫌いですけどね。


とにかくそんな「首相案件」。自らの権力を用いて一部の民間へ利益誘導するように政治的に行政を捻じ曲げるな、という批判。

その批判が事実なら全くそのとおりだと思います。
本当にそんな癒着があるなら猛批判すべきです。
例えば過去には明確に明言した迷宰相がいました。

こちら↓
http://www.sankei.com/premium/news/141225/prm1412250006-n2.html

 現行制度の骨格が固まったのは23年夏。当時の菅直人・民主党政権は、東日本大震災の対応などから退陣を迫られ、退陣の条件に再生可能エネルギー特別措置法案の成立を挙げた。 
「国会には菅の顔だけはみたくないという人が結構いる。本当に見たくないのならば早く法案を通した方がいい」

動画はこちら
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14757242

全部見てはいないですが(マジで気持ち悪い動画なので)、目についた点だけ。


38:50頃
主催者とおぼしき男性の発言「今日はあの二部構成にしておりまして、一部構成は孫正義社長のえーお話をお伺いしまして、えー私達のエネシフナウ・ジャパンの主催、第二部は実はあのー自然エネルギーを拡大しようという、民間団体の25団体の主催です。えーこういう民間団体の主催に総理がおいで頂けるという事は画期的な事だと思います。えー多くの今回の主催団体の方非常に喜んでいおります。」
45:35頃
孫正義「この土俵際の粘りで、ね、この粘り倒して、この法案だけは絶対通してほしい!
47:50頃
菅直人 「『菅の顔だけはみたくない』という人が結構いるんですよ国会の中には。そういう人達にですね、言おうと思うんですよ。『本当に見たくないのか、本当に見たくないのか、本当に見たくないのかって。それなら早いことこの法案を通したほうがいいぞ』とね。」

明確に孫正義と、菅直人自身が意向を明言していますね。それを政治的にゴリ推したまさに「首相案件」でしょう。

一民間企業であるソフトバンク含むその他一般企業が強烈に推進する事業の会合を主催し、そこに現役の総理大臣が参加し、こんな発言をしていたという事。

これを首相案件と呼ばずになんと呼ぶのか?
政商と呼ばずになんと呼ぶのか?

モリカケに不正があるというならその批判もすればいいでしょう。しかしもっと巨額の利益をごく一部の民間団体や企業へ生み出した、この再生可能エネルギー固定価格買取制度に、一部の企業の意見が大きく反映され、時の総理菅直人が明確に「首相案件」である事を明言しながらでゴリ推した法律をなぜ批判しないのか。行政に首相の意向が加味される事がそれほど問題なのなら、これほど記録にはっきりと残った「首相案件」、どうぞどうぞ盛大に叩きまくってください。

モリカケの一連の事業に、大きな政治的な流れや動きとして、首相や与党の意向が汲まれたものは絶対にあったと思います(行政が与党の意向の影響を受けないというのはありえないため)。

行政のベクトルが総理の影響を受けた事態、それそのものが問題なのではなく、その影響が
「客観的事実や科学的根拠に基づいたものになっているか」
「何らかのイデオロギーに基づいた歪なものではないか」
「一部の企業や団体の意向を受け国民を蔑ろにしてはいないか」
という様な問題を孕んではいないか、という事こそが本質になります。

FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の問題は今更述べるまでもないでしょう。挙げればキリがないですが、売電の権利だけ取得して太陽光パネルの価格の値下がりを待つような悪質な業者(高値の買取価格を受ける権利だけ取得して実際の太陽光パネルの設置は、量産効果で価格が下がるまで放置しておくと初期投資を大幅に下げられる)や、大多数の国民は費用負担が増えるのみで、ごく一部の層だけが利益を得たという事、国民からそうして税のように徴収された調達費用が参入してきた外国資本へ流れるという事、あるいはそもそも太陽光パネルが乱立したことにより山林が伐採されかえって自然破壊が進んだ事実、それに伴う地すべりや水害。先般の台風でも様々な被害が発生しました。原発の問題よりも、よっぽど直近の問題として太陽光パネルが様々な被害を起こたのは事実です。

しばしば「政治は結果責任」と言われるように、政治家の動機や意図がどれだけ御大層な立派なものであったとしても、その結果国民が不幸になれば批判され責任を問われる事があるように、菅直人の「首相案件」の実態は一部の太陽光事業者に利益をもたらしたばかりで、大多数の国民にとっては間違いなく大損害であります。

モリカケに一ミリも問題がない、とは僕は決して言いません。大きな政治的な流れに現政権の方向付けがあったであろうとは思います。それを批判するのもいいでしょう。しかしそれと同時に、この菅直人の「首相案件」、あるいはそれと協調して積極的に活動していた政商孫正義を、それ以上に糾弾し弾劾すべきである、と思います。